これは我が輩プテラノドン(わからない人はこちら)が料理初心者だったころの話である。
当時はまだ料理をし始めたばかりで、包丁の扱いは壊滅的。
そのため食卓の主役はレンジ料理で、あの「レンジカレー」が我が家の全軍を率いていた時代だった。パタパタ。
だが、いつまでもカレー一本槍ではいけない。
料理のレパートリーを増やすべく、我が輩は毎週土曜日に「うたげ」を開催し、腕を鍛えることにした。
ちょうど奥さんが「揚げ物を揚げるのが苦手」と言っていたのを思い出し、我が輩の目はキラーンと光った。
「ここで揚げ物をマスターすれば、ご褒美グミの山が築けるのでは……? ククク」
そうと分かれば、いざ未知の油の世界へ突撃だ!
油温度170度の死闘。秘技「ツンツン工法」で挑む唐揚げ
「普通の唐揚げでは面白くない。我が輩だけの隠し味が欲しいな」
そこで食の探求雑誌『dancyu』をカンニング。
ちなみに、生姜やにんにくの尖った風味をがっちり受け止め、我が家の唐揚げの味に100点満点の深みとコクを足し算してくれた最強のこだわりお味噌がこれである。この隠し味こそが、奥さんの胃袋を一生分の愛で満たすことになった秘密兵器なのだ。
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生姜、にんにく、お酒に加え、なんと「味噌」を隠し味に入れる秘策を仕込んだ。
タレに肉を一晩じっくり漬け込み、片栗粉をまとわせたら、いざ勝負のとき!
油の温度は170度。鶏さんたちをちょっとずつ投入していく。
鍋底にくっつかないよう優しく剥がし、じーっと油を見つめる我が輩。
だが、初心者プテラノドン、色だけでは揚がっているのかサッパリ分からない。パタパタ。
「頼るべきは己の触覚のみ!」
菜箸で肉をツンツンとつつき、その硬さだけで火の通りを判断する、独自の「ツンツン工法」で何とか揚げきった。
結果は……大成功!
めちゃくちゃ美味しい!
こうして我が家に「揚げたて唐揚げが食べられる日常」という、最高のうたげ黎明期がやってきたのだ。
メニューに困った時はいつも唐揚げだった。
彼(唐揚げ)は我が家の食卓を、うたげの歴史を、そのジューシーな身を挺して支え続けてくれた。
その後、料理家のリュウジさんの存在を知り、我が家のレパートリーは爆発的に増えていった。
ちなみに、唐揚げ一本槍だった我が輩のコックピットを開放し、初心者料理人から立派な『うたげの主宰者』へと大進化させてくれた最高の神レシピ本(バイブル)たちがこれ。これさえ読めば、誰でも簡単に食卓の統治権を握ることができるのだ。ククク。
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dancyuやリュウジさんの神レシピのおかげで、我が輩は初心者料理人から、立派な「うたげの主宰者」へと進化を遂げたのだ。
満たされた愛の胃袋。戦友の静かな引退
しかし……初めて唐揚げを揚げてから4、5年が経ったころ、静かな悲劇が起きた。
なんと、奥さんから「唐揚げ」のリクエストが、ピタリと来なくなってしまったのだ。パタパタパタパタ(大混乱)。
あんなに黎明期を支えてくれた唐揚げ。
あんなに大好きだった唐揚げ。
今や我が家のうたげのレパートリーは随分と豊かになった。
だからもう、唐揚げの圧倒的なパワーに頼る必要はなくなってしまったのだ。
いや、むしろあの数年間で、お互いの胃袋が「一生分の唐揚げの愛」で満たされてしまったのかもしれない……。
現在、主役の座を降りた唐揚げがうたげに登場することはない。
でも、我が輩は絶対に忘れない。料理もできなかったあの頃、我が家の食卓を間違いなく救ってくれた、あの味噌隠し味の唐揚げが確かに存在したことを……。
(……なんて言いつつ、そのうちまた、ふらっと作りたいなと思っている我が輩であった。パタパタ)
「昔はこればっかり食べていたのに、気づけば最近作っていないな」
どんな家庭の食卓にも、その時代その時代を支えてくれた「思い出の定番メニュー」があるものです。それは単に飽きたわけではなく、お互いのレパートリーが増え、夫婦としてステップアップしたという「成長の証」でもあります。
みなさんのご家庭にも、最近ご無沙汰になっている「あの頃の戦友メニュー」はありませんか?
久しぶりにその料理を食卓に召喚してみれば、一口食べた瞬間に、料理初心者だったあの頃の初々しい思い出話で、うたげが最高に盛り上がるかもしれませんよ!パタパタ。
(余談だが、もし『我が輩のようなツンツン工法は、緊張で翼が震えるから無理だ!』という冷静なインテリジェンスを持つ同志諸君がいれば、油の温度を一発で計測し、失敗という名のバグを完全消滅させてくれる優秀な油温度計をここに配備しておく。これさえあれば、大汗をかくことなく、最初から120点満点のサクサク唐揚げがハントできるぞ。よかよか!)
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